囀る鳥は羽ばたかない 1巻1話(ネタバレ・感想)

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1巻の始まりは「Don’t stay gold」という物語から始まる。
矢代の高校時代からの親友「影山」と
矢代が組へ勧誘している最中の「久我」がメインとなり、
矢代がキューピット役となってくっつけるお話…といえば、そう言う話なのだろう。
が、これも当然本編へと深く関わっていく話となる。

ノンケである影山と、その気がありそうな久我ではあるが
矢代の策略?によって見事「影山×久我」のカップル激誕なのである。

この話から読み取れるのは
「矢代って人心掌握に長けた人?はたまた単に頭がキレる人?え?てか、ドMのネコ??」
と、矢代という人物がただならぬ人なのだと予感させるのにバッチリなお話。

そしてこれを皮切りに「囀る鳥は羽ばたかない」の魅惑の本編へと突入して行くのである。

ドMで変態、淫乱の矢代は、
真誠会若頭であり、真誠興業の社長。
本音を決して見せない矢代のもとに、
百目鬼力が付き人兼用心棒としてやってくる。
部下には手を出さないと決めていた矢代だが、
どうしてか百目鬼には惹かれるものがあった。
矢代に誘われる百目鬼だが、
ある理由によりその誘いに
応えることができない。
自己矛盾を抱えて生きる矢代と、
愚直なまでに矢代に従う百目鬼。
傷を抱えて生きるふたりの物語が始まるー。 

(1巻裏表紙)

導入話でカップルになった影山と久我の和室でのおセッセモードから、話は始まり始まり〜ヾ(*^。^*)ノ
そこで天井を見上げる久我が気づいてしまった。

久「エロモード発動中なのはわかったから あれ」
影「あれ?」

影山も見上げると、ペンダントライトにあからさま過ぎるほどの盗撮カメラがw
矢代の仕業だと、すぐに気づくあたり…過去にもやってますな、これww

ところ変わって矢代の事務所。
矢代のモノローグが入ります。大まかにいうと

高校時代からの友人、影山が男に恋をした。
相手は子生意気なチンピラ久我。
その恋のキューピットは俺。
奴が久我を目にした時から予感があり、
俺がそうなるように仕向けたのには理由がある

そしてその理由が
「見たかったのだ。」
である。
「奴がどうやって男に惚れてどうやってモノにするのか」
「そうして投げつけたものは鋭利な刃物となって俺自身に跳ね返る」

うぅ〜ん、何やら自虐的な感じと共に、ある種の傍観者的な雰囲気を醸し出す矢代。

と同時に、影山が隠しカメラを持って事務所に突入。
激オコである(当たり前だw)

影山の追求も、飄々とかわす矢代。
それに対し影山は
「盗聴の次に盗撮ってただの変態だろ
お前の悪趣味はいつになったら治るんだ?」
と問い詰める……って、やはり常習犯であった矢代(-▽-)ワーオ

そして、帰って行く影山の姿を窓から見下ろしながら矢代のモノローグがふたたび。

「なぜ俺じゃなかったのか なぜ俺じゃ駄目だったのか」

矢代が実は「影山」のことが好きなのだとわかる瞬間。
読んでいて切なくなるっス(ノ_-)クスン
引き続き矢代のモノローグが続く。

「俺は、俺自身も傍観者にすることで 俺を保ってきた」

うぅ〜ん、なるほどぉ。
自分の気持ちや心に嘘をつきながら生きて行くのって、正直辛いっス。
私自身もそういう経験があるので、多少なりとも矢代の気持ちにリンクできますがな。
自分を守るために嘘を積み重ねていく人生。
側から見てると一見してわからないように演じているつもりだけど
本人はマジで辛いんだよね、こういう時って。
この終わりの見えない嘘で固めた現状、
理解してもらえない孤独な気持ちを誰が救ってくれるのか。
仮に救いの手があるとしたら、
それは、今の自分を曝け出すことに他ならない。
当然恐怖が伴う。
恐怖とは、誰にも知られたくないから自分を守るために作り上げた防御壁。
その侵入を許してしまうことに他ならない。
それを自分自身にも、こじ開けようとしてくる者を許せるのか。

…そういう意味では、本当の意味での親友とかって
自ら作ってはこなかった黒歴史。踏み込まれるのが怖いのでね。
と、たった矢代の一文のモノローグにここまで感化できる自分の過去よ、
「ありがとう」と感謝すら出来まっせ(T‐T*)フフ♪ 

自分ことに脱線しましたが、戻りまっしょい。

逆光を浴びたような久我を頭に描き、矢代は思います。
「久我はまるでギラギラと太陽 一方で俺は・・・」

ギラギラと太陽を始めは「若さ」のことを言っているのかと思ったけど
「真っ直ぐで擦れていない。何者にも支配されない」
そんな雰囲気を持つ久我への羨望なのかもしれないと感じるようになってきた。

そうは言っても久我も親からの虐待を受けて施設育ちであり、過去が普通だとは言えない。
当然矢代はそういった過去もしっているだろうが、
それでも矢代とは違う生き方が出来る久我に対し、嫉妬に近いものがあるではないだろうか。
影山と矢代はどこかで同属意識的なところで繋がっていて
お互いがそこに深く立ち入らないことで長く親友として続いていけているが
それとは真逆の性質を持った久我の存在が、矢代も影山も眩しかったに違いない。
矢代は影山を好きだったから、久我に恋することはなかったが
影山はそんな久我を好きになった。
それを、矢代自身がお膳立てしているのだから 自分虐めにも程があるというもんだ。

当然、自分で招いたことであるにもかかわらず、
行き場のない感情が湧き出しそうになる瞬間、それがスイッチとなり一言。

「何でもいーからブチ込まれてー…」

矢代自身でもコントロールできない「心に湧いてくる孤独」。
おそらく、孤独が湧き上がりきってしまう前に「セックス」へと気持ちをスイッチさせて自分の心を見ないように誤魔化してきた人生なのではないだろうか。
自分でやってきた結果に対し、ちゃんと向き合えていない感じがするっス。
悲し過ぎるぜ、矢代ぉ(T‐T*)

そして実際に組の事務所でブチ込まれている矢代ww
いや、確かに有言実行だけれども。褒められたもんじゃねーよ(-_-;)?
そこに突然入ってきた男が、タチの男の腕を掴み上げ
「…大丈夫ですか」
と涎を垂らしてヨガっていた矢代に声をかける。

「大丈夫じゃねーよ バカヤロウ」

と言いながら、部下の七原と百目鬼に背を向けつつ
乱れた衣服を整える矢代。
お相手のタチはすでに帰られたようだ。

矢代は基本、羞恥心がないように見える。
プライドが無いと言ってもいいのかもしれないが
自分のSEXを人に見られることに抵抗がない。
部下の七原が何度か現場を覗き見していることも知りつつ、
「見物料のツケがたまっている」程度なのだ。

タチの腕を掴み「大丈夫ですか」と声をかけた男は「百目鬼」であった。
矢代の傘下である闇金会社から来た彼は、この日初めて矢代の事務所を訪れてきた。
闇金では使い物にならないから、組の用心棒に…ということらしい。
矢代の付き人兼用心棒としての人生が始まった「どうめ記念日」だ。

七原を部屋から退出させ、矢代と百目鬼の二人きり。
初対面の二人のやり取りからは
百目鬼が「天然」かもしれない(座れと言われて、ソファーではなくドアの前にそのまま座っているw)
矢代的には、百目鬼がヤクザには向いていない(面構えと雰囲気だけでヤクザになっちゃった感じと心で思う矢代。ついでに名前も「百目鬼力」なんて、もうヤクザやんw と思ったのだろう)

矢代が問う「俺のことは知ってるか?桐島から何か聞いてきたんだろう?」

さりげなく、傘下で働いている桐島の内情を偵察するかのようなモードの矢代。
実際に後日、その件に関して本人に確認とってるから、やっぱり今後の跡目争いに関しての内部事情(自分の立場)を改めて確認しているかのように感じる。さすがインテリヤクザの矢代である。

その問いに百目鬼は答える「道心会傘下 真誠会 若頭」

矢代「それだけか? 言ってみな 怒らねーから」

百目鬼「………… ”ドMで変態”」「”淫乱ネコ”?」「幹部の公衆便所”」
矢代「他には?」
百目鬼「”笑ってるようでキレてるから気を付けろ”」

お互いの目を見ながら沈黙のち、
矢代が「いい目だなぁ」と発し、百目鬼のことを”気に入った”と目の前のローテーブルを足蹴にしつつ
”気に入ったからベルトを外せ”とまさかの要求。

「部下には手ぇ出さねぇって決めてんだ なんでかわかるか?百目鬼」

私がここで矢代さんってスゲェと思ったのは、一度聞いただけで「百目鬼」の名前を覚えてしまっていたことだ。年もまだ30代と若いし、頭良いし、普通なのかいな。

それに対し百目鬼は「…手ぇ出さないんですよね」と確認。
矢代は「手は、…な?」

キタ━━━━(☆ω☆*)━━━ッ!!!!
これぞ淫乱たらしめる誘いテクなのだな!??と、興奮するオイラ(死)。

次のターンではすでに百目鬼の百目鬼をシャクっている矢代w
ぼかしつつも百目鬼の百目鬼はかなりのビックサイズであることがわかる描写で
これがいずれ矢代さんに入っていくのかと思うと、身の毛がよ立つ思いだ。
シャクリながら下から百目鬼の目を見る矢代。男が興奮する術を知っているのは流石です(キラーン)。
そして(やっぱいい目だわ…)と心で思う矢代。
それにしても勃ちませんねぇ……と思った矢代は百目鬼の年齢を確認。

百目鬼「25です」
矢代「俺が25の時なんて毎日勃起してたけどなぁ まぁそれは俺が変態…」
百目鬼「俺 インポです」

矢代の変態発言に被せ気味に発する「インポ」宣言。

これが「囀る」にとっての重要な構成成分「百目鬼インポ」である。
てか、勃ってないのにあのサイズかーーーーいっ!!(」゜□゜)」
と、百目鬼の恐ろしさを1話目から痛感。すごいぜ、百目鬼。なぜか私が誇らしいっス(はぁ)。

そしてシャくるのを止め、窓辺にたち一人ごちる矢代。
「いつもやらねぇことするもんじゃねぇな ろくなことねえ」

やはり他の部下にはやらないことらしい。百目鬼にだけ。

「シャくったのがお前で正解だったな」
「他の奴らには言うなよ?」
逆光を浴びつつ、百目鬼に目線を向ける矢代の美麗なことこの上なし。
そして壁によりかかりタバコに火をつける矢代を見つめる百目鬼。


日にち変わって、闇金に矢代と百目鬼で出向中。
シノギに必要な取り立てが滞っていることについて、桐島に問い詰める矢代。
「笑ってるようでキレてるから気を付けろ」がここでも発揮されている気がする。
シノギの話を終えた後、改めて「幹部の公衆便所」の「幹部って、ダレ?」と問い詰める矢代。
桐島は一旦とぼけるも、会話を続けるうちに思わず「三角さん」と発してしまう。
三角さんとは、矢代をこの世界に拾い上げた人であり真誠会の親団体となる「道心会」の若頭であり、矢代とは舎弟関係になる。

それを桐島の口から聞き出し、改めて自分の組での立ち位置(三角にとっての自分の存在)を確認した矢代。今後考えられる「跡目争い」が脳裏に浮かんでいるはずだ。

その後、帰社する車内では「囀る」にとって重要だと思われるやりとりの一つが始まる。

百目鬼「違うとは言わないんですか? 公衆便所」
矢代「なんで違うと思うんだ? この前オレの生ケツまで見たくせに」(だから羞恥心はよ?)
百目鬼「あれは…刑事ですよね」

この百目鬼が「刑事」と判断していた伏線は、後日回収されることとなるが
矢代は訝しみながらも「なんでわかった?」と問う。

百目鬼「あの年齢の同業にしては身なりが適当すぎると…」
矢代「そんだけ?」
百目鬼「部下には手を出さないと言ってたので」

これは百目鬼の「勘」だと判断した矢代は「他のやつらには言うなよー」とこの話を締めた。

百目鬼へシャくったこと。
刑事とヤっていたこと。

百目鬼に対し2つの秘密ができたことに対し、軽い口調で「不公平だからお前のヒミツも2つ寄越せ」と言う矢代。「…………」と返答に困っている百目鬼が、ついに口にしたのは

「綺麗だと 思ってました 頭のこと あっちにいた時から」

その言葉を聞き、一瞬固まる矢代。

それを知ってか知らずか百目鬼は「秘密にしてください」と続ける。
後頭部座席からその様子を見ている矢代は百目鬼の耳がうっすらピンクに染まっているのを見た。
おそらく「綺麗」と思っていたことは本当のことなんだろう。

矢代「…わかった も1コは?」
百目鬼「…秘密はもうありません」
矢代「……」(含み笑顔)
矢代「ウソが下手な奴だなぁ」

この車内でのやりとりが私は大好きである。
百目鬼は矢代のことを闇金時代から知っており、その時から綺麗な人だと思っていた。
そして、初めて事務所で矢代にシャクられた時、窓辺に立つ矢代の所作を見て「綺麗な人」を再度意識した瞬間なのだと思う。リアル矢代に感動した的な。

また、矢代はあまり自分の感情を出さない百目鬼が初めて見せた「耳をピンクに染めるほどの告白(ある種)」を目の当たりにし、心が動じてしまったのだ(きっと)。
「ウソが下手なやつ」とは「感情が出てしまう(耳をピンクにしてしまう)=嘘が付けない」と「秘密がもうない」のダブルミーニングでしょうかね。
とんかく、この車内でのやりとり、会話も含め小粋でスチ ( ̄m ̄*)ムフフ


事務所に帰ると、三角さんが来社し部下と酒盛り中。
百目鬼の存在に気づき「コイツ お前の好みだろ 俺には分かる クビだ!」と、初対面とは思えない洞察力w
それだけ矢代の心情を知り尽くしているということなのか。

場所を料亭に変えて、三角・矢代の二人で対座しての会合。
「絶対クビにしろよな もう惚れたんじゃないだろうなぁ」と改めて釘を刺す三角。
こうなってくると、嫉妬かい?とも思えてくる矢代愛w
ここでは昔の八代が酷い有様だったことが三角との会話、矢代のモノローグで分かってしまう。

「自分探しと称して己の快楽のみを追及する それはそれはおいしい日々を送っていた」

のモノローグでは、矢代が複数人を相手にウケをしている場面が差し込まれている。
素っ裸の矢代は足で頭を押さえつけられ、口には相手のラマを含み、下の穴には挿入中…と、少なくとも3人を相手しているようであり、一見して強姦とも取れるシーンだ。しかし矢代曰くは「おいしい日々」なのであるから、この人のマゾっ気恐ろしい…(-_-;)

さらにモノローグでは
「三角に拾われたこと」
「三角とは最初の1年こそ愛人関係だったが、その後は舎弟関係」
「感謝はしているが、ヤクザの道しかなかったのかと痛感させられた」
として、決して矢代はヤクザになりたかったわけではないことが分かる。

そして、二人の会話が本題でもある「三角の跡目争い」の話に突入。
三角のいる道心会は、矢代がいる真誠会の親団体に当たる。
三角はそこの若頭だ。ヤクザで言うところの若頭は、次期組長候補だ。
跡目争いに加わる三角は、そんな自分の側に矢代を置きたいという。

だが、ここで問題なのは「矢代は真誠会の若頭である」ということだ。
若頭という立ち位置は、次期組長候補である。
矢代の所属する真誠会には組長の「平田」がいる。
三角が跡目として出世する場合、順序でいうなら
・道心会(親) 組長 三角
・道心会(親) 若頭 平田
・真誠会(子) 組長 矢代
となるのが筋的なものではないだろうか。

そこを三角の一存で、矢代にとっての現組長である平田を通り越して、格上げするようなものかと。
跡目問題から抗争に発展することはどこの世界でも同じことだが、当然矢代もそれを警戒しているはず。
ましてや、矢代は頭の良いインテリヤクザだ。自分の立ち位置、周りからの評判なども考えれば、それは抗争につながるとわかっているはず。

そして、もう一つの懸念が矢代のモノローグで表される。

「もう一度 この人のものになったら」
「俺はもう二度と戻ってこれないだろう」

おそらくこれは矢代の衝動的な思いである。
真に思い当たることもないけど、なんとなく出てきた衝動的な思い。

三角「影山っていったかあの医者 まーだつるんでんのか?」

この一言によって、衝動的だった思いにしっかりと色が入ったのだ。

矢代(戻る…?)

矢代にはハッキリと影山(とひょっとしたら久我の二人)が頭に浮かんだに違いない。

矢代「はっ… 馬っ鹿じゃねぇ…(戻るもなにもあいつは最初からー)」

と独りごちた後、酒が回って眠ってしまうのだった。

・・・

・・・

(((((*ノДノ)えーん

悲しすぎるぜ、矢代よ。どこまで言っても影山なんだねぇ、、、でも百目鬼がそのうち癒してくれっから‼️(たぶん)


場所は変わって、百目鬼におぶられたまま目を覚ました矢代はこの状況に「…キュンッ」と乙女になっておりますw
おそらく絵の印象からいって、百目鬼は矢代をおぶったまま、玄関前でずーっと立ち止まっていたんでしょうね。ワンコ百目鬼、可愛すぎる。

そして、矢代の寝床に移動する我々(私も含まれてますがな)。
矢代をベッドに横にし、退出しようとする百目鬼に「シャクらせろ 百目鬼」と一言。

百目鬼「…頭、俺は」
矢代「いいんだよ 勃たねえ方がいい」

「俺は」に被せるように「いいんだ」という矢代。
そして、次のページではベッドに座らせ百目鬼の百目鬼をシャクる矢代w イイね。

百目鬼はその間、耳に掛けられた矢代の横髪が、サラっと元ある位置に落ちていく様をジーッと見つめている。その目は、いつもの矢代を見る目とは違い、どことなく憂いを帯びているようでもある。

その百目鬼の目を見て「…相変わらずナメた目で見やがって」と矢代。
相変わらずという点が「動じていない=感じていない」という解釈では、これは正しいかもしれない。
だが、百目鬼の目はきっと憂いてますよ?頭!

それに対し、何か言い出そうとしている百目鬼を牽制するかのように
「あー、いいんだって 見下されんのゾクゾクするんだよ」と矢代。これは色々相まって、本音だろうw
引き続きシャクリ続ける矢代に、百目鬼が声をかける。

百目鬼「頭はいつから男が好きなんですか?」
矢代「…なんだその下らねぇシツモンは」
百目鬼「…下らないですか?」

矢代はシャクるのを止め、百目鬼の股間に頭を乗せ(膝枕ならず、股間枕だ)答える。

「…男を好きになったことは一度もない」

そこから矢代の独白が続く。
その独白は、自分が義父にやられていたこと(幼児性虐待)
義父によって開発されたものの、高校生になる頃には相手にされなくなったこと
人間に惚れたのは一度だけ(影山のこと)
自分が普通の恋愛ができないこと
百目鬼が、高校時代のあいつ(影山)に似ていること等、
人が聞いたら同情せざるを得ないような重たい話だが、矢代はまるで人ごとかのように軽く語っている。
うーん…矢代がこんなふうに自分の恋愛観について語るのが悲しいっス。

たぶん「義父にやられて今の自分が出来上がった」という事に関しては、百目鬼に対し話していたかもしれない。
ただ、恋愛観については百目鬼に答えているというよりも、独白に近いのではなかろーか。そして、この独白行為はすでに矢代の中では今までに何度も繰り返されていることのようが気がしてなりませぬ。

本当は普通の恋愛ってやつをしてみたかった。
「普通」に生きれないからこそ、「普通」に憧れる。
傷を負ってしまった人って、いわゆる「普通」ってのが難しいんですよね。

矢代のそんな独白を聞いて、百目鬼は「…あいつって」と聞こうとしたと同時に矢代からの「なんでムショに入っていたのか」との質問でお流れとなりますw 百目鬼、あいつとは影山やで。

百目鬼「………ただの喧嘩です」
矢代「じゃあいつからインポに?」
百目鬼「いつの間にかです」
矢代「はっは ホンッとウソが下手な男だなぁ」

シャクられ始めた直後から、今に至るまでの間
コマを見るに、百目鬼の視線はずーっと矢代から離れてはいなかったようだ。
矢代もシャくったり、股間枕で独白したりしているので
そんな百目鬼の視線をずーっと感じていたわけではないだろうが、
会話が終わった今、見られ続けていることに対し、ちょっとした意地悪を言いたくなったのかもしれない

「…そんなに見るなよ 穴が開くだろ? ひゃっはっは」

あら、意外と笑い方がお下品なことが判明した矢代w ある種のギャップ萌えじゃい。
そして、すいませんと言うかのように目線を逸らす百目鬼。

矢代はそんな百目鬼を見て「ヤリたくってしょうがねーって顔すんの ちょっと見てみてえな」と一言を発した後、喋りすぎたと股間枕のまま寝むりに落ちる矢代。
すでにカーテンの隙間からは朝日が入ってきており、夜が開けたのだと分かる。
百目鬼は少し戸惑いながら、矢代の前髪の部分に人差し指を当ててみる。

絵を見た感じ、触れたか触れてないかの微妙なラインだが、
これは触れていると私はカウントしております。その方が百目鬼だけの秘密が一つ増えたようで、オシャレな感じがいたしますのでね。

以下は別途考察した部分と、影の演出について思う事をまとめています〜。

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「目が気に入った」についての考察

1:矢代のサディストが発動した

もともと、部下には手を出さないことを秩序としていた矢代が
初対面の日に「目が気に入った」という理由で、シャくってしまったのが百目鬼だ。
この「目が気に入った」というのは矢代からの追及に対しても、シャクられた事実に対しても「動じない目元」のことであり、この目を見た瞬間、衝動的に矢代の中にあるサディストの部分が働いたのではないかしら。

不動の百目鬼を壊してやりたい。
いじめてやりたい。

サディスト的心理でいうとこんなところなのかな?

2:矢代の分かりずらい優しさが発動した

ひょっとしたら、「見た目と雰囲気だけでヤクザになったような奴」と思っていたこともあり、
端から部下にする気がはじめからなく脅しの目的も多少あったのかな?
いかんせん若者だ。勃てば当然やる流れになるかもしれない。そうなれば矢代的には首にせざるを得ないが、そうすれば百目鬼は足をあらうことになる。
にしても、矢代自身も百目鬼に対しては「他」とは違う気持ちが最初からあったのは間違いないが
「目が気に入った」=「目が純粋(汚れた世界をまだ知らない)」と判断すれば
恐怖(動揺)を与えて、離れるように仕向ける……なんて、この段階でそこまで矢代が思っていたかは正直謎っすね。てことで「1:矢代のサディスト発動」が私の中の答えですw

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矢代にとっての膝枕(股間枕)とは?

とあるYouTuberの方がおっしゃるには
男の人が要求する膝枕には、
「子供のように甘えたい」「無条件に受け入れて欲しい」という気持ちが表れているのだとか。
普段は甘えない彼が特定の人にだけ膝枕をねだってくるというのは、心を許せる存在なのだと。
つまり男性が求める膝枕とは、日々の責任や緊張から解放されて「癒し」を求めている証拠であり、
膝枕を求めた時、男はその女性に癒やされているということになる。

矢代は幾度となく百目鬼の膝枕(股間枕)をご披露してくれるが、
すでに初期の段階から百目鬼から「癒し」を感じており、膝枕をした時は
上司と部下という関係も矢代の中にはなくなっているのだろう。
確かに、膝枕(股間枕)時の矢代は、プライベートな内容を話すことがほとんどだ。
今回初の膝枕(股間枕)だが、独白に近い感じでプライベートを語っており
百目鬼に対し、心を開き始まっている貴重なシーンだと思う。

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ヨネダコウ先生は、影演出の魔術師?

ヨネダコウ先生の漫画は「影」(影山ではない)の取り方が非常に効果的だと思わざるを得ない。
キャラクターに多くを語らせず、目線、動き、間、などの書き方で見せる手法だと思われ。
それゆえに読者はキャラクターの心情を推し量ったりして、一人一人の解釈が生まれていく。
それこそが「囀る」の魅力でもあると思うのだが、その考察に深みを持たせているのが、「影」の演出だと思う。影の有無で、キャラクターが何を考えているのかが変わってきてしまいそうだ。
また、ヤクザという裏社会感もそれによって強調されているようにも見える。

そして、もう一つ。
もともと矢代は綺麗な人であるが、影(影山ではない)を見に纏うと、特にその美麗が際立っているように感じる。百目鬼が「頭が綺麗だ」と思った瞬間は、もれなく私も綺麗だと思っているし、うまいことやられている気がする。

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